たちの愛する家族の一員であるワンちゃんや猫ちゃん。彼らの健康と長寿を願うのは、すべての飼い主さんの共通の想いでしょう。しかし、現代社会の食生活は、人間だけでなく、ペットの健康をも蝕む危険に満ちています。その最大の要因の一つが、私たちが何気なく与えているかもしれない**「食品添加物」**なのです。
〈日本の食品添加物事情:人間もペットも無関係ではない〉
吉野敏明チャンネルでは、現代の食がもたらす病気の原因を「四毒(小麦、植物油、乳製品、甘いもの)」と「五悪(食品添加物、農薬、化学肥料、除草剤、遺伝子組み換え食品)」という独自の概念で解説しています。この中で、食品添加物は「五悪」の筆頭に挙げられ、私たちの健康に深刻な影響を与えるものとされています。
驚くべきことに、アメリカやヨーロッパ諸国、さらには中国でさえがん患者が減少傾向にある中、日本だけががん患者が激増していると指摘されています。この背景には、日本が戦後、不平等条約によりアメリカの余剰食料(小麦、植物油、脱脂粉乳など)を大量に輸入し消費を義務付けられた歴史があり、その過程で食品添加物の使用が容認されてきた側面があります。
人間が食べる加工食品にこれほど多くの添加物が使われている現状は、ペットフードにも少なからず影響を与えていると考えられます。実際に、「市販のペットフードは問題ない」と獣医が言うケースもありますが、吉野先生は**「市販の餌で安全だという獣医は当てにならない」**と断言し、ペットが病気になる原因になっている可能性を指摘しています。
〈「超加工食品」としてのペットフード:見えない添加物の脅威〉
人間用の食品と同様に、ペットフードもまた「超加工食品(ウルトラプロセスフード)」に分類されるものがほとんどです。超加工食品とは、砂糖、塩、油、脂肪、および食品添加物(着色料、香料、増粘剤、乳化剤、膨張剤など)を大量に含み、集中的な工業加工を受けて生産された食品のことです。袋や箱、レトルトパック、缶詰に入っているものは、その時点で超加工食品であるとされています。
ペットフードの多くがこうした形態で販売されていることを考えると、その中に含まれる食品添加物の量や種類は膨大なものになるでしょう。そして、これらの添加物は、ペットの体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
〈ペットの健康を脅かす具体的な食品添加物とそのメカニズム〉
ソースでは人間への影響が中心に語られていますが、生物としての体の仕組みに共通点が多いペットにも同様の影響が考えられます。
- カラメル色素: プリンなどにも使われるカラメル色素にはタイプ1から4まで分類があり、特にタイプ4は硫酸化合物やアルカリ化合物で人工的に酸化させて作られ、非常に強い発がん性があるとされています。表示義務があっても、どのタイプが使われているかは不明な場合が多く、コーラなどにも含まれています。
- 果糖ブドウ糖液糖: 清涼飲料水や乳酸菌飲料、アイスクリームなどに広く使われています。遺伝子組み換えトウモロコシを分解して作られており、低温でも甘みが強いため、コスト削減のために砂糖の代わりに使われます。この液糖は、体内の様々な組織を糖化によって破壊する危険性があります。
- 亜硝酸カリウム/ナトリウム: ハム、ベーコン、ソーセージなどの発色剤や保存料として使用されます。これらが胃液と反応するとニトロソアミンという強力な発がん性物質に変化し、胃がんの原因となると指摘されています。本来、死んだ動物の肉は遺体のような色ですが、発色剤によってきれいなピンク色にしているのです。
- タンパク加水分解物: いわゆる「うま味調味料」に含まれるアミノ酸等の一部で、レンダリング(動物の使えない部分や廃棄物、糞便など)から作られている可能性があると指摘されています。食品添加物によって無臭化されますが、その原料は非常に問題があると言えます。
- トランス脂肪酸/水素添加油脂: マーガリンやショートニングの原料であり、植物油を水素添加して固めたものです。これは「植物性のプラスチックの塊」と表現され、体内に蓄積されます。女の子の子宮内膜や男の子の前立腺など、特に成長期の臓器に悪影響を及ぼし、重い生理痛や生理不順、前立腺疾患の原因となる可能性があります。ソースでは、ホイップクリームや菓子パン、マーガリンが「植物性プラスチック」そのものであると強調されており、マイクロプラスチックを心配する前にこれらを心配すべきだとしています。
- 人工甘味料(例:アスパルテーム): カロリーゼロと表示されていても、長期間摂取すると味覚が麻痺し、インスリン抵抗性を引き起こし、最終的に血糖値を上昇させる可能性があります。WHOも発がん性の可能性を指摘しており、人工甘味料とがんの関連性を示す論文は増加傾向にあると述べられています。人工甘味料は脳の快楽報酬系に作用し、ドーパミンを放出させ、コカインやヘロインに近いほどの依存性があるとも言われています。
- 増粘多糖類: 豆乳やグミ、菓子パン、麺類などにほぼ100%含まれており、食品の食感や舌触りを調節し、とろみをつける目的で使用されます。法律上は食品添加物として表示義務がない場合が多く、「無調整」と表示されていても実際には添加物まみれであることがあります。
- 合成着色料: 赤色3号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、緑色3号など多岐にわたり、発がん性の疑いがあり、多くの国で使用が禁止されていますが、日本では依然として許可されているものがあります。特に赤色106号は発がん性が強いとされ、日本でのみ使用が許可されています。
これらの添加物は、人間の体内で慢性炎症を誘発し、セロトニンやドーパミンの生成に影響を与え、うつ病やパニック障害などの精神疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。また、植物油の過剰摂取は神経細胞の軸索を破壊し、パーキンソン病や統合失調症のリスクを高めることが示されています。ペットの痙攣の原因として、ペットフードの食べさせすぎも挙げられており、これも加工食品に含まれる添加物や「四毒」による神経への影響と関連しているかもしれません。
〈「キャリーオーバー」という見えない罠〉
食品添加物の危険性をさらに見えにくくしているのが、日本独自の「キャリーオーバー」という法律上の抜け道です。
この制度は、原材料の製造・加工過程で使用された添加物が、最終製品にはごく微量で効果を発揮しない場合、表示が免除されるというルールです。例えば、卵サンドを作る場合、ボイルエッグ、食パン、マーガリン、マヨネーズそれぞれに法律上限まで添加物が含まれていても、それらを組み合わせて「卵サンド」という新しい商品になると、それまでの添加物がカウントされず、新たに卵サンドに許可された添加物を加えることができます。これにより、表示上は「無添加」であっても、実際には複数の工程で大量の添加物が使用されている「添加物山盛り食品」が流通しているのが実態です。コンビニ弁当のハンバーグや漬物なども同様の状況にあります。
このキャリーオーバーの仕組みはペットフードにも適用される可能性があり、私たちが「無添加」や「ナチュラル」と信じて選んでいるペットフードも、実は添加物まみれである危険性をはらんでいます。
〈ペットの健康を守るために私たちにできること〉
愛するペットの健康を守るためには、私たち自身の意識と行動を変えることが不可欠です。
- 「超加工食品」を避ける: コンビニエンスストアの食品、インスタント食品、ファストフード、レトルト食品、缶詰など、多くの食品添加物を含んでいる「超加工食品」は、人間だけでなくペットにも可能な限り避けるべきです。
- 手作り食の検討: 吉野先生は、自身の猫たちが「食品添加物ゼロ」の自然食品を食べ、手作り食を与えていることで、動物病院の費用が1円もかかっていないと語っています。これは、手作り食がペットの健康に大きな影響を与える証拠と言えるでしょう。愛するペットのために、旬の魚や肉、野菜などの生鮮食品を自分で調理することが、最も安全で健康的な選択です。
- 表示を鵜呑みにしない: 「無添加」や「成分無調整」といった表示があっても、キャリーオーバーの仕組みにより、実際には添加物が含まれている可能性があるため、安易に信用しないことが重要です。
- 原材料表示の確認: 可能であれば、ペットフードの原材料表示を細かく確認し、不審な添加物が多く含まれていないかチェックする習慣をつけましょう。ただし、キャリーオーバーの仕組みを考えると、表示されている情報が全てではないことに留意が必要です。
私たちの体も、そしてペットの体も、食べたものでできています。目先の「便利」や「簡単」に流されず、愛する家族の健康と幸せのために、賢明な食の選択をすることが求められています。


